15.12.2025
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Introduction
11月5日は「世界津波の日」「津波防災の日」です。
各地で避難訓練が行われ、スマホから大きな音が鳴って驚いた…という人もいたかもしれません。
この機会に、津波からどう身を守るのか考えてみてください。
JR大阪駅周辺にいたら
近い将来の発生が懸念される南海トラフ巨大地震。
もし、発生すると、最悪の場合、JR大阪駅周辺の梅田にも津波が押し寄せます。
大阪駅周辺は、広い範囲で津波のリスクがあり、最大2メートル浸水するおそれがあります。
津波の到達は、地震の発生後2時間から2時間半とされていて、大阪市・北区は、
▼「東側への水平避難」
▼「ビルの3階以上への避難」
のいずれかの避難を呼びかけています。
今回、倉沢宏希アナウンサーが梅田を歩いて「どこまで行けば安全なのか」確認しました。
JR大阪駅前をスタートした場合、東側に向かうには、まず歩道橋を渡らなければなりません。
しばらく歩くと、駅前にある赤い観覧車が見えます。
ただ、ここはまだ浸水リスクがある場所なので、さらに東へ移動する必要があります。
駅前からおよそ500メートル東に進んだ先にあるのが、避難の際に目安となる「新御堂筋」。
ここを超えると津波の浸水エリアから脱出できます。
さらに東に進むと、市の指定避難場所の「扇町公園」にたどりつきます。
JR大阪駅前から扇町公園は、直線距離ではおよそ1キロですが、信号が消えていて道路を渡るのに苦労したり、大勢の人がいれば行列が発生したりして、実際の移動は想像以上に時間がかかる可能性があります。
高齢者などは無理をせず「ビルの3階以上」などに避難するようにして下さい。
駅ビルで買い物していたら
梅田に立ち並ぶビルの中には、訓練を重ねて備えているところもあります。
10月28日、商業施設などが入るJR大阪駅直結の「ノースゲートビル」で行われた避難訓練では、津波のリスクを想定し、地上には降りずに、駅の3階部分のデッキを通って、5階の「時空の広場」に逃げるルートを確認しました。
避難の際には慌てずスタッフの指示に従うことが大事です。
また、JR大阪駅5階にある金色の時計が目印の「時空の広場」は避難場所として覚えておくと安心です。
「うめきた公園」では
休日は親子連れなどでにぎわうJR大阪駅近くの「グラングリーン大阪」内の「うめきた公園」。
芝生の広場や非常用の電源などが整備され、市の「広域避難場所」に指定されていて、地図にも載っています。
「広域避難場所」は、地震後の火災などから身を守るために広い公園などが指定されますが、津波のリスクが考慮されていません。このため、中には津波からの避難には適さないところもあるのです。
「うめきた公園」はまさにこうしたエリアで、かさ上げなども行われていないため、津波で浸水する危険があります。
実際、公園の北側にある看板にも小さく「津波×」と書かれていました。
大阪市北区も「うめきた公園は津波の避難先ではないので、南海トラフ巨大地震が発生した時には、 近くのビルに避難してほしい」と呼びかけています。
列車に乗っていたら
和歌山県広川町では、電車の走行中に南海トラフ巨大地震の津波が発生した想定で避難訓練が行われました。
この訓練はJR西日本と広川町が行ったもので、地元の小学生などおよそ400人が参加。
訓練は、電車の走行中に南海トラフ巨大地震が発生し緊急停止したという想定で始まり、乗客たちは停車した電車から次々と線路に降りました。
そして、津波から逃れるために、周りに「逃げろ」と呼びかけながら、高台の神社まで走って避難しました。
「世界津波の日」は、江戸時代の安政南海地震が起きた旧暦の11月5日に、現在の広川町で商人が稲の束に火をつけて津波を知らせたという「稲むらの火」の故事が由来となっています。
訓練に参加した小学6年の男子児童は「指示に従って走って逃げました。自分の身は自分で守ろうと思いました」と話していました。
JR西日本近畿統括本部安全推進部の懸田剛一課長は「和歌山は沿岸部を走る列車に津波が真っ先に到達するため、地域住民の皆さんと危機感をもって津波に備えたい」と話していました。
学校にいた子どもたちは
兵庫県たつの市の中学生は、近くにあるこども園の園児と一緒に避難する訓練を行いました。この訓練は、高台にあるたつの市の御津中学校と、南海トラフ巨大地震の津波浸水想定区域にある御津南こども園が初めて合同で行ったものです。
中学校では午前10時に緊急地震速報と訓練用の音声が校内放送で流され、2年生の教室では生徒たちがすぐに机の下に入って頭などを守る姿勢を取ったあと、体育館に避難しました。
続いて、避難の補助を担当する生徒19人が学校を出て職員と避難していた園児たちを迎えに行き、手を引くなどして一緒に坂道を登り、中学校まで移動していました。
中学3年生の女子生徒は「手をつないだ2人の園児の歩幅がそれぞれ違ったので、転ばないよう気をつけました」と話していました。
御津中学校の益子芳行教頭は「生徒たちは園児たちをしっかり避難させていたと思います。検証して今後も訓練を重ねていきたい」と話していました。
また、御津南こども園の山本婦貴子園長は「園児たちを素早く高台に避難させるのは職員たちだけでは難しく、生徒たちが誘導してくれるのはとても助かります」と話していました。